暖かな陽気急に包まれて、あっという間に初夏にまっしぐらという感じです。春を楽しむ間もなく過ぎ去ろうとしていますが、春から初夏にかけて咲く花菱草って知っていますか?おそらく知らない人の方が多いでしょうね。洋名はカルフォルニアポピー。ですからポピーの仲間です。ガーデナーの方はぜひ知っておいてほしい花なんです。
花菱草は残せないからこそ一瞬を楽しむんです
この花菱草は、残念ながらポピー特有の可憐な花びらのためドライフラワーには向いていません。ドライフラワーどころか切花にさえできないのです。切花にしたくて詰んですぐに花瓶に入れても花は萎れてしまいます。地植えしている時はとても乾燥にも強いのですが、花単体になるととても弱いのです。その秘密は、この花の「直根」にあるのだと思います。まるで細い人参のような根を1本だけ生やすのですが、その根に貯水性があるのでしょう。
ですから、花は咲いているその場でその時を楽しむしかありません。ドライフラワーで花の美しさを長く楽しむことを提案している私にとっては、真逆の楽しみ方なのですが、ベースに「花の美しさを愛でる」という強い思いがあることでは共通した楽しみ方なのです。
爽やかな春を知らせる花菱草が一番好きです
春に咲く代表的な花は、園芸種でいえば、パンジーやビオラ、ネモフィラ、スノーポール、など数え切れないぐらい品種がありますが私はこの花菱草が一番。群を抜いています。
この花は海外では写真のように自然に群生して見事な花の絨毯になる花なのですが、日本ではあまり見かけない花ですよね。
この花菱草は、花を摘んでもすぐに萎れてしまい切り花には向いておらず、移植(植え替え)も嫌うため切花や苗として出回ることがありません。唯一、種だけはホームセンターやネットで販売されています。私も10年以上前にこの花の種にホームセンターの種売場で出会い、興味本位で植えてみて初めてその魅力に気づきました。依頼、毎年咲かせては種を採り、翌年に備えるという繰り返しです。
※種は花菱草かカルフォルニアポピーどちらかの名前で売られています。
植えてみて気づいたことですが、その可憐さからは想像できないぐらい丈夫で繁殖力があることです。少ない土や水でも育ちます。1年草(1年で枯れて種を残す種類)と言われていますが、何本かは冬を越して翌年にも見事な花を咲かせてくれることがあります。とにかく管理さえきちんとして入れば、毎年種を更新しながらずっと長い間楽しめる花なんです。その美しさは最後に動画を添付しておきますので、そちらでご覧いただきたいと思います。我が家に今年咲いた花菱草です。
我が家では、人通りのある道側で栽培しているのですが、道ゆく人が「わー綺麗、すごい」と言いながら通り過ぎていくのを何度も見かけますし、種を分けて欲しいと言ってこられた方もいらっしゃいました。それはガーデナーとして、とてもとても嬉しいことですよね。
誰にも見られず、自己満足で花を育てるのはなかなかモチベーションが・・・・続きません。
この写真は自宅前のブロックのわずかな隙間(幅2cm程度で深さ3cm程度)に土と遅効性(ゆっくり効果がある)の肥料を入れて、10月に種を蒔いたものです。11月には目が出て5cmほどの大きさに育った花菱草です。この苗が、下の写真のように、大きな株になるんです。
下の写真がわかりやすいですが、1粒の種から育った1本の苗からここまで見事な株になるんです。
すごいでしょ。最後に動画があるのでぜひ見てくださいね。この花の魅力が絶対わかってもらえるはずですから。
花菱草の種ってどんな種?
私はこの花菱草の花の種を毎年収穫して次の年用に保管し、時期が来たら種まきして育てるという作業をもう10年以上続けています。この花は濃い黄色と薄い黄色、そしてベージュと3種類の色があります。その種が、混ざらないように毎年気を使います。
花が受粉すると写真のような細長い種の鞘ができます。中には黒い小さな直径0.5〜1mm程度の種が沢山入っています。
鞘が枯れ、乾燥すると自然に写真のように2つに割れて弾けます。そして中の種を勢いよく遠くに飛ばします。ホウセンカの種の要領です。ホウセンカも種の入った袋が破裂して種を遠くに飛ばしますよね(小学生の時に学校で栽培した記憶があります)。一つの花で一つ鞘ができて、その鞘に50粒は種ができています。凄い繁殖力ですね。
それを飛ばないように瓶に集めていきます。毎年、インスタントコーヒーのガラス瓶1本分ぐらいは種が収穫できるんですよ。翌年用に使う種はほんの100粒ぐらいですから、かなり余らしてしまいますが、そのままにするのももったいないので収穫してしまいます。
花の色別に種を入れる瓶は分けておかないと、種まきの時にわからなくなるので注意しましょう。例えば花壇を黄色→白色→黄色とか順番にしたい時、思い通りにできなくなりますから、色別に分けておく必要があるのです。
それに、種は収穫してすぐ蓋をしないこと。まだ種は出来立てほやほやで水分をたっぷり含んでいますから、乾燥させてから蓋をしましょう。でないと、カビが生えてしまい、種が台無しになって大変ですから。
種まきの魅力を知って欲しい
ガーデニング好きな人は多いかと思いますが、ホームセンターで苗を買ってきて花を楽しむのもいいですが、種から苗を作って花を楽しむという上級者の楽しみ方を覚えると、種の収穫という楽しみまで付いてきて、1年中楽しいんですよ。
●そして、種から育てて苗を作り、そしてそれを他の人にもプレゼントする。
をやってみてください。絶対お薦めです。
私は、種での育苗もそうですが、最近はローズマリーやラベンダー、オリーブなどを挿し木して増やすことにハマってます。またそれをプレゼントすると喜ばれるんですよねー。自分の趣味が人の役に立つという喜びまで得られて正に一石二鳥です。
花菱草もポットで育苗して、プレゼントしたりするんですよ。市販されていないから喜ばれます。
種も植えてから目が出るのを見るととても幸せな気分になり、苗を買ってきて花だけ楽しむのとはまた格別の幸福感があります。
それでは最後に我が家でこの春咲いた花菱草の動画をご覧ください。